4月1日から、すべての商品に総額表示が義務付けられた。いままで商品の値段は、(税抜)か、(税込)かを用心深く見る必要があったが、義務化により値札はすべて消費税込みとなっているはず。しかし、なかにはわかりにくいケースも多いようだ。消費者たちが感じた価格表示に関するモヤモヤを紹介する。
和食ランチでだまされた!?
会社の近くのこぎれいな居酒屋さんがランチを始めたと聞いて、仕事仲間2人を誘ったの。焼き魚定食が780円で、小鉢1つと小さなお手製プリン付き。注文のとき、「食後のお飲み物はいかがですか?」と聞かれてメニューを見たら、コーヒーが180円。
総額表示が義務付けられていることだし、ヨシッ、余裕で1000円切るなと判断した私。同行の2人もすかさず「お願いします」と声をそろえた。で、お味の方は平均以上とくれば言うことなし。3人で、「また来ようね」と言い合っていた。
ところがお勘定の段になったら、「3名様ご一緒ですか、3168円です」と。「えッ?」と聞き返したら、焼き魚定食が780円の横に米粒ほどの大きさで(税込858円)と書いてある。で、コーヒーには(税込198円)と。あれから店の前を通るたびに、総額表示の義務付けを逆手に取った、新手の“ひっかけ”じゃないのって、ついニラんじゃう。
(ベテラン経理は56才)
「税込」か「税抜き」か、老眼で見えない
還暦を過ぎたら老眼が進んだせいでスーパーの値札が見えにくいところにきて、店員の数が激減して、「これいくら?」と聞ける人がいない。老眼鏡をかけて見ればいいんだろうけど、このご時世、重い荷物を床に置いて、バッグの中から取り出す気にはなれない。で、結局、買うのをあきらめることもあるし、安いものなら細かい値段がわからないまま、買っちゃう。
だから、“総額表示”になると聞いたときは、払うべき金額がドーンと大きく表示されるならよかったと思ったのよ。そしたら何よ。店によって値段の書き方がまちまちで、ワケわからなくなっちゃった。誰のための総額表示なのよ。少なくとも老眼のアラカンのためになってないことは確かね。
(世に不満だらけの63才)
取材・文/野原広子
※女性セブン2021年5月6・13日号