4月25日から5月11日までの期間、東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に緊急事態宣言が発令される。飲食店にも営業時間の短縮要請が継続され、あらためて自炊に挑戦しようと考える人もいるだろう。とはいえ、今までスーパーで買い物をしなかった人たちにとっては、一食あたりの食費がいくらかかるのか、予想しにくい。そこで、『意識の低い自炊のすすめ 巣ごもり時代の命と家計を守るために』の著書があり、ほぼ毎日スーパーへ行き、自炊を続けているネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、主要食材の相場について解説する。
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実は自炊って外食よりも高いことってよくあるんですよ。たとえば牛めしチェーンの「松屋」で「プレミアム牛めし(並盛)」を頼むと380円で、「栄養足しておくかな……」とばかりに「生野菜生玉子セット」を頼むと170円追加となります。
これで550円になるわけですが、実際問題として、これと同じものを自宅で作ろうとすると、材料費だけで550円以上かかることになります。理由は、この一食のために使う以上のロットを買わなくてはいけないからです。しかもそれだけ費用をかけても、「松屋」よりもおいしい牛めしを作れるわけではない。
これが「実は自炊の方がカネがかかる」論の根底にあります。自炊が日常の方にとっては間違いなく自炊すると食費の節約につながる。しかし、今回のように緊急事態宣言のために慣れない自炊をする人にとっては、「初期投資」的なものがかなりかかってしまうんですよね。それこそ牛めし(牛丼)を作る場合は、食材だけで以下のものが必要になるでしょう(金額は私の経験値から導き出したおおよその相場)。
・醤油(1リットル:198円~)
・牛肉(100g:258円ほど)
・ワイン(720ml:800円ほど)
・みりん(1リットル:248円~)
・砂糖(そこそこの単位を買うなら最低100円)
・生姜(158円)
・タマネギ(1個40円ほど。ただし、5個入り以上で300円ほど)
・ニンニクチューブ(128円)
・米(2kg:980円)
・パックご飯(安くて3パック248円)
・紅ショウガ(98~128円)
これらの食材を全部揃えなくては牛丼・牛めしは作れません。もちろん、調理器具や食器も必要です。自炊するにあたっては手間もかかります。だからこそ、外食産業は非常にありがたい存在なのです。