親が亡くなった後、子供たちが手配を進めなくてはならないのが「葬儀」だ。だが、実際に葬儀の段取りを進めていくと、そこにトラブルはつきもの。66歳の元会社員は、「なぜ、親父はもしもの時のことを考えてくれなかったのか……」と残念がる。
「数年前、親父が脳卒中で倒れて半日後に亡くなりましたが、日常的に使う口座にはほとんど残高がなく、定期預金の通帳など財産のほとんどを銀行の貸金庫に入れていた。それで母が銀行に行った時に、“主人が亡くなって……”と言ったら、貸金庫が凍結されてしまった。
私もわずかな退職金で住宅ローンの繰り上げ返済をしたばかりで、親戚に頭を下げて葬儀費用を借りなくてはいけなかった。友人から、親が葬儀費用を自宅に残しておいてくれたという話を聞くと、親父が恨めしくて……」
親の備えがあるかないかで、葬儀にかかる手間は大違いだ。
「亡くなった母はスマホで連絡先を管理していたので、友人・知人など関係者を把握できなかった。そうしたら友人の一人がほうぼうに声をかけてしまい、会場は100人規模のものに。家族葬のつもりだったのに、費用は100万円を超えてしまった」(65歳元会社員)
「母の遺影を探すのが大変でした。あるのは集合写真やピントがボケたものばかり。90歳で亡くなったのに、50代の写真になってしまい“もう少し最近のはなかったのか”と、親戚に嫌みを言われた」(69歳元会社役員)