俺だってもう老人なのに
介護が長引けば、当然、介護する側も歳をとる。神奈川県に住む72歳の男性は93歳の義母の介護に追われている。
「13年前に妻の母を自宅近くの賃貸ワンルームマンションに呼び寄せました。家内は一人っ子なので、面倒を見るのは当然だと私も納得したうえでの決断でした。当時義母は80歳で我々夫婦は50代。家内が食事を作って運び、洗濯や入浴も手伝っていました。
ところが10年前、家内が脳卒中で急逝してしまった。以来、私が面倒を見続けています。入浴はデイサービスに頼んでいますが、介護費用のこともあり食事の世話や掃除、洗濯は私がしています。仕方がないと諦めているが、自分の体がいつまでもつかが心配です」
介護する側が60代、70代ともなれば、いつ健康面でのトラブルに見舞われても不思議はない。
「母親を抱きかかえて車に乗せようとした時に、腰に激痛が走って動けなくなってしまった。急いで介護タクシーを呼び、母をデイサービス施設で降ろしてもらった後、私はそのまま病院へ。腰椎圧迫骨折と診断され、手術はせずに済んだもののコルセットを巻きながらの生活です」(広島県に住む68歳男性)
前出・辻川氏が話す。
「介護は親世代が動けなくなるまで続く場合も稀ではありません。親の面倒を見るのが長期化すると、経済的のみならず、心身共に疲労してしまいます」
※週刊ポスト2021年5月7・14日号