投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月連休前後の動きを振り返りつつ、5月10日~5月14日の相場見通しを解説する。
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4月最終週の日経平均は週末にかけて軟調となり週足で陰線を形成。週初こそは米バイデン政権による富裕層を対象とした株式譲渡益増税への過度の警戒感の後退から上昇したものの、その後は、バイデン米大統領の議会演説や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えて一進一退に。イベントは大きな波乱もなく通過したが、国内連休中の空白リスクを避けたいとする思惑から、週末は手仕舞い売りが嵩み、29000円を割り込んで終えた。
連休明けの5月6日は、連休前にヘッジ目的で先物を売っていた投資家による買い戻しも入り、一時は600円高となる大幅反発で29000円を回復。7日は、米雇用統計を前にした様子見ムードが強まり、前日終値を挟んだ水準でのもみ合いに終始した。
個別では、決算を受けた個別株物色が主体となり、主なところでは、日本電産<6594>やエムスリー<2413>、ソニーグループ<6758>が下落、ファナック<6954>やイビデン<4062>、キーエンス<6861>などが上昇で反応した。その後の株価推移も概ね決算直後の反応を引き継いだものが多い。ただ、イビデンはその後の下落で上昇分を帳消しにする展開となっている。
市場予想を大きく上回る見通しを示した東京エレクトロン<8035>は寄り付きこそ下落したものの、次第に切り返してプラスで終え、翌7日は大幅高となった。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄でもある富士通<6702>が決算後にコロナショック以降の高値を更新したことも話題となった。
今週の日経平均はもみ合いか。主力企業の1-3月期決算が終盤入りとなる。週初から200近い企業の決算があり、週末には900以上もの決算が予定されている。このため、決算を受けた選別物色の様相が一段と強まり、指数に方向感は出にくそうだ。昨年3月から10月までがグロース(成長)株の独り勝ち、昨年11月から今年3月まではバリュー(割安)が独走状態という二極化相場が続いていたが、4月以降は明確な方向感はなかった。こうした動きは決算を挟んでも続きそうだ。
これまでに発表済みの決算と株価反応を振り返ってみると、反応はまちまち。グロースでは、日本電産やエムスリーなどの売りが序盤は目立っていたが、ファナックや東京エレクトロンなど好反応のものも徐々に散見されるようになってきている。東京エレクトロンのようなグロース・ハイテクの代表格で、株価も上場来高値圏にある銘柄でも、好決算であればしっかり買われる動きが確認されたことは相場にも良い印象を与える。