投資情報会社・フィスコが5月10日~5月14日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)は緩和政策の長期化方針を維持しており、長期金利が低下した場合はドル売り・円買いが優勢となりそうだ。ただ、今週発表される経済指標が堅調だった場合、米国経済の正常化を期待してドル買い・円売りは継続するとみられる。イエレン米財務長官は米誌のインタビューで、バイデン政策による財政出動により政策金利引き上げの可能性に言及したが、その後発言を撤回した。リスク選好的なドルは一服したが、新型コロナウイルス向けワクチンの普及で経済指標の改善が目立つ。
先月発表された米1-3月期国内総生産(GDP)速報値は、市場予想を上回ったほか、4月ISM製造業と非製造業景況指数は予想を下回ったものの、いずれも60台を維持している。そうした強い指標を受け、FRBによる資産買取り規模の段階的縮小(テーパリング)の見方は根強い。
今週発表の4月消費者物価コア指数(CPI)が市場予想を下回った場合、FRBによる大規模緩和策の長期継続の思惑が広がり、金利安・ドル安に振れやすい。ただ、4月小売売上高が市場予想を上回った場合、成長持続への思惑で株高・金利高・ドル高が見込まれる。商品価格の上昇を背景に欧州や資源国の通貨が買われる場面ではドルが下押しされる可能性があるものの、米長期金利が下げ渋った場合、ドルを買い戻す動きが広がり、ドル・円は下げづらい展開となりそうだ。
【米・4月CPI】(12日発表予定)
12日発表の米4月CPIは前年比+3.6%、コア指数は同+2.3%と、上昇率は3月実績を上回る見込みだが、市場予想を大きく下回った場合、金利安・ドル安要因に。
【米・4月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の4月小売売上高は前月比+1.0%と、3月の+9.7%から伸びは鈍化する見通し。3月は大幅な増加を記録したが、4月実績が市場予想と一致すれば、株高・ドル高の要因となり得る。