とはいえ、来店者の外部騒音の程度がひどく、周囲の住民の安眠を奪い、平穏な生活を脅かすようになれば、その騒音は受忍すべき限度を超えるかもしれません。また、駐車場にたむろしている来店者からの受動喫煙の弊害の程度も同様に問題になるでしょう。
来店者へのお願いの張り紙で効果がないなら、コンビニは近所に迷惑をかけている来店者に駐車場から速やかに出ていくよう要求し、出ていかなければ警察に相談することもできます。さらに、騒ぎを避けたければ、深夜の営業をやめるなどの工夫があってもよいと思います。
騒音や煙害の程度がひどく、その結果健康被害を招くほどであり、騒ぐ来店者が常連客で店と関係が深いときには、コンビニはこうした手立てを講じる義務(作為義務)を周辺住民に対し負っているとの理屈で、裁判でコンビニに対して夜間営業の差し止めなどを求めるのも一案です。とはいえ、店にも営業する自由があり、住民の請求が簡単に認められるとは思えません。
しかし、あなたの周りの住民も困っているのではないでしょうか。自治体では良好な生活環境の維持を目的とする部署や、事業活動に起因する騒音については公害としてあっせんや調停の制度を設けている例もあります。まずは近所の有志を募って、自治体のこうした部署で相談することをおすすめします。
【プロフィール 】
竹下正己 (たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2021年5月20・27日号