騒音や煙草の臭い──さまざまな問題がご近所トラブルにつながる。ゴミ問題もそのひとつで、自宅の敷地内への“ポイ捨て”に悩む人も。一度のみならず、繰り返される悪質なポイ捨てにはどう対処したらよいのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
私の家(戸建て)の隣に賃貸マンションがありますが、うちの庭やベランダに、ゴミやたばこの吸い殻などがたびたび投げ捨てられて困っています。あまりにもひどいので、マンションの管理事務所に苦情を言いましたが、まったく改善されません。いまのところ犯人を特定できていませんが、解決するためにはどこに相談したらよいでしょうか。(島根県・55才・主婦)
【回答】
他人の家の庭にゴミや吸い殻を捨てる行為は土地所有権を侵害する不法行為ですから、損害賠償やゴミの撤去を請求できます。
ゴミの位置などから投棄者の部屋の見当がつくのであれば、見張ったり、監視カメラを設置するなどして投棄者を特定できるかもしれません。スマホやカメラなどでポイ捨てしているところを記録すれば言い逃れはできません。しかし、広範囲であれば四六時中の監視は大変ですし、費用もばかになりません。
マンションの管理人や大家にクレームを言いたいところです。賃借人との賃貸借契約だけでは、賃借人の行動を規制することはできませんが、契約上、周辺への迷惑行為禁止の規制がある場合には、その契約上の権利の行使を求めることも考えられます。
しかし、投棄者が不明では大家や管理人も規制するのは困難です。その場合でも、マンションの掲示板などに『ゴミ投棄禁止』の掲示を要請するのがよいと思います。
こうした努力をしてもやまない場合は、公的な力を借りるしかありません。