知らず知らずのうちに子に嫌がられているケースは様々ある。群馬県在住の50代女性が疲れた顔でつぶやく。
「母が亡くなってから、近所でひとり暮らしする父の様子を見に行くたびに引き留められて、『体調が悪くて大変だよ』『ご近所にこんなマナーの悪い人がいて困っている』といった愚痴から、『最近の政治家は腐敗している』という社会批判まで延々と数時間も聞かされます。実家に着いたのはお昼前だったのに、自宅に帰るのは夕方という日々が続き、ぐったりしてしまいます」
鳥居氏が指摘する。
「ただでさえ時間を奪われているうえに、親の不平不満をまき散らされると、子供は『私は愚痴の聞き役じゃない!』と思ってしまいます。時間的な浸食だけでなく、心の中までかき乱されてしまうので、ダメージがより大きくなります」
それが重なれば、子世代はどんどん離れていくことになる。
※週刊ポスト2021年5月28日号