だが、いくら注意しても相手のペースに巻き込まれてしまうことはある。
都内に妻と2人で暮らす72歳男性は、4年前にパーキンソン病の診断を受け、現在も近くの病院に定期的に通っている。
「病院で知り合ったBさんは、同じ病と闘う“同志”のような感じ。といっても、付き合いは病院内の喫茶店で世間話や孫の話に花を咲かせる程度。好きな本やDVDの貸し借りも楽しかったんです」
ところが案に相違して、やがてB氏に付きまとわれるようになったという。
「昼夜を問わず電話してきて、無視すれば20数件の着信履歴に『どうした?』『電話をくれ』と伝言を残す。距離を取ろうにも診察日が重なるので、病院で待ち伏せされたら逃げられません。送迎を頼んでいる娘の車にまで『帰りは通り道だから』と乗り込んでくる。娘には『病院を変えたら』と言われますが、自宅を知られており、アポなしで訪ねて来たこともある。さすがに怖くなりました」
首都圏郊外に建てた二世帯住宅で息子家族と暮らす66歳男性は、家族ごと友人関係で悩まされている。
「定年後は環境のいいところで生活しようと、子育て中の息子夫婦と相談して移り住みました。少しでも早く地域に馴染もうと、自治会の活動に参加したのですが……」
そこで知り合ったC氏(70)は地域の顔役的存在。男性は、何かと用を頼まれるようになった。
「ゴミ拾いや防犯活動など自分が出かけて済む用事ならまだしも、コロナ禍で集会所での会合ができなくなると、私の自宅が広いからと“寄り合い”という名の宴会場にされてしまったんです。酒を片手に人が集まり、酔って転んだC氏が新居の壁に穴を開けたこともあった。それでも『もっと地域に貢献しないと。奥さんは婦人会、息子さんは消防団ね』などと平気で言ってくる。もう、うんざりです」
※週刊ポスト2021年5月28日号