しかし、運送契約に適用される商法では、運送品の全部が滅失した場合には、荷受人は荷送人と同一の権利を取得するとされているので、商品が雨に濡れて全損となったような場合には、荷受人は宅配業者にも損害賠償請求ができます。
以上は原則的な考え方です。実際のネット通販では、宅配業者から置き配の可否を照会されることがあります。これに対して購入者が置き配を選択した場合、宅配業者がその選択に従って置き配をしたのであれば、通販業者の補助者である宅配業者が購入者の指示どおり配達したことで、契約に従った引き渡しがあったことになります。その場合、通販業者にも宅配業者にも責任追及するのは難しいといえます。
ご質問では、勝手に置き配されたとのことですから、通販業者の言い分は通りません。もし通販業者が宅配業者の配達について免責されるような契約条件を定めていれば、消費者契約法に違反して無効になる可能性もあります。消費者センターなどに相談してください。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2021年6月3日号