求人の選択肢も地方より圧倒的に多い
通信系企業に勤める女性会社員・Bさん(20代)も、都会での生活にこだわっている。自身は九州出身で、都内の私立大学に進学。大学の所在地は多摩エリアで、「東京」のイメージとは違ったそうだ。それでも、東京に住んでいることに喜びを感じたと振り返る。
「お世辞にも都会とは言えない環境でした。でも、電車で気軽に新宿に行けるのは大きな価値がありました。何もかもが手に入る環境は、私にとって衝撃でした」(Bさん)
Bさんはコロナ禍、今後の生活を考えて都心に留まることを決めた。
「結局、仕事も出会いもまだまだ東京にあると思うんです。地方に移住して、リモートワークでできる仕事なんて結局限られている。何かやりたいと思ったとき、東京なら選択肢がたくさんあるけど、地方だとそれが本当に少ない。コロナだからこそ都心にいようと思っています」(Bさん)
ネイリストの女性・Cさん(20代)は、昨年末関西から東京に来たばかりだ。「コロナで東京も大変なのによく来たね」と言われることもあるという。
「テレビで、東京でもお店があちこち潰れている、というニュースは見ていましたが、だからといって何もかもがなくなるわけではない。田舎に比べたら、そもそもがあり過ぎなくらいです。それこそ求人の種類も数も、地方より圧倒的に多い。若者が多い印象もありますし、コロナだからこそ閉塞感溢れる地方にはいたくないです」(Cさん)
高齢者を中心に、人口が密集する都心部のコロナ感染リスクを懸念する声もある中で、今回、話を聞いた若者たちからは、コロナ感染を不安視するような発言はまったく出てこなかった。コロナ禍で厳しい環境だからこそ、感染リスクに脅えるよりも人生をよりよく過ごすための選択肢を優先したい──それが彼ら/彼女たちの本音のかもしれない。