コロナ禍でテレワークという働き方が急速に普及したことで、郊外や地方への移住が注目されている。一方で、都心部に住む若い世代の中には、コロナ禍であらためて「都会生活」のメリットを再認識している人もいるようだ。
学情が5月17日に発表した調査では、20代のテレワーク経験者の32.0%が「(新型コロナウイルスの影響を受け)通勤時間を短くしたいと思うようになった」と回答。一方で、テレワークを経験していない20代の同回答は、24.1%に留まった。さらに、20代のテレワーク経験者の49.0%が「便利さ重視で都心に住みたい」と回答し、「家の快適さ重視で郊外に住みたい」を15.7ポイント上回っている。
なぜコロナ禍の今、「都会志向」が強まっているのか。地方出身の若い世代の男女に話を聞いた。
都内在住でIT企業に勤める男性会社員・Aさん(20代)は、東北地方の出身。生まれ育った地は良く言えば田園風景が広がり自然が豊か。悪く言えば、「何もない」環境だったという。
「自分が育った環境のせいかもしれませんが、地方移住なんて考えられません。たとえ今いる会社がテレワーク前提で移住を認めてくれたとしても、退屈な田舎でずっと在宅勤務するのは無理ですよ。やっぱり近くでなんでも揃う東京はすごいな、と思いますね」(Aさん)
Aさんは現在、職場から電車で約40分の場所に住んでいる。コロナ以前は通勤ラッシュが苦痛だったため、なるべく時間の早い電車に乗り、車内で仕事に関する勉強をしていたという。テレワークによる在宅勤務を経験した今、職場から離れるより「近づこう」と思うようになった。
「通勤しないで済むのが、こんなに楽とは思いませんでした。会社は、徐々に出勤を増やす方針みたいなので、多少狭くても職場から10分くらいのところに引っ越そうかと検討中です」