交友関係は持ちつ持たれつが理想的だが、現実はそう簡単なものではない。周りに自分のことを利用する、“都合の良い人”はいないだろうか。特に厄介なのは、専門的な職業のスキルや経験を「タダ」で得ようとする人たちだ。“被害者”から聞いたその驚きの実態とは。
40代のAさん(女性)は、美容師として働いていた経歴を持つ。結婚を機に辞め、現在は別の仕事に就いているが、「元美容師」であることは周りにひた隠しにしているそうだ。理由は明白で、「タダで利用される」ためだという。
「過去に経験があるのですが、職場の人や子供の同級生の親なんかに知られると、『ちょっとやってくれない?』みたいに、軽い感じでお願いされてしまいがちです。中には、『私がカットモデルやってあげるよ』という上から目線の人もいました。昔、断りきれずにやってあげた人のうちの一人は、カットだけでなく、カラーやパーマなど要求がエスカレート……。お金を払わない姿勢が見え見えだったので、『本当は○○円くらいするんですよ』と言ってみたら、『そうだよね~、得したわ!』と無邪気に言われて、呆れました」(Aさん)
ふとしたきっかけで、Aさんが元美容師だとバレてしまうこともあった。コロナ禍で、美容室を避け、セルフカットする人もいるのだが、話題を振られた時に、つい口を滑らせてしまった。
「髪の話題には気をつけているんですが、職場でカットのコツをチラッと話してしまって。実は……と言わざるを得なくなりました。すると、ここでもやはり、『前髪だけ切って』と言われ、『またかー』という感じでウンザリ。その人は、自分が仕事にしていることをタダでやってくれって言われたら、どう思うんですかね」(Aさん)