前週のビットコイン市場は、歴史的な“暗黒の1週間”となってしまった。週初と週末の価格を比較すれば、4分の1程度の下げかもしれないが、19日、21日にはボラティリティ(変動率)の大きな相場展開となり、数時間の間に多額の資産を失った投資家も少なくないようだ。
価格急落の主な要因は中国政策情報の発表である。一つは、18日夜、中国インターネット金融協会、中国銀行業協会、中国支払決済協会が連名で発表した「仮想通貨(暗号資産)取引の投機リスクを防ぐことに関する公告」、もう一つは、国務院金融安定発展委員会が21日に開催した第51回会議の内容だ。
特に後者は、金融行政のトップである劉鶴副首相が議長を務め、各部門の責任者が委員として参加する会議であり、今後の金融領域における重点業務が話し合われ、決定される重要な会議である。
国務院の発表した文章には、会議のポイントとして以下の3点が記してある。
【1】実体経済に対してさらに一歩進んで良いサービスを提供する
【2】金融リスクを断固として防止しコントロールする
【3】改革開放を引き続き深堀する
問題は【2】の「金融リスクを断固として防止しコントロールする」の部分だ。以下がその内容である。
最低ラインをしっかりと意識したうえで、金融リスクについて全方位からチェックし、これまで以上に予防に務め、警告する。中小金融機構改革のリスクコントロールを推し進め、信用リスク低減に力を尽くす。プラットフォーム企業に対する金融活動の監督管理を強化し、ビットコインのマイニングや取引行為を打ち砕き、個別のリスクが社会全体の領域に伝わるのを断固として防ぐ。株式、債券、為替市場の安定を維持し、証券違法行為を厳しく罰し、金融違反犯罪活動を厳罰に処さなければならない。外部のリスク・ショックを厳重に防ぎ、輸入インフレに効果的に対応し、期待(経済用語上の“期待”)の管理、市場の監督管理を強化し、緊急対応や政策準備をしっかりと行わなければならない──。
文言には“ビットコインのマイニングや取引行為を打ち砕き”と名指しで明言されている。“打ち砕き”と訳したが、中国語の原文では“打撃”といった動詞が使われている。