「若者のテレビ離れ」と言われて久しいが、最近また話題になっている。NHK放送文化研究所が5月21日に発表した調査結果によると、国民全体で1日にテレビを視聴する人は、2015年の85%から、2020年の79%へと減少。特に下げ幅が大きかったのが10代で、10~15歳は78%から56%、16~19歳では71%から47%へと大幅に減少している。今や「10代の若者の2人に1人がテレビを見ていない」という結果が明らかになった。この結果を受けてまたしても「若者のテレビ離れ」への議論が蒸し返されているわけだが、当の若者からは呆れる声が聞こえてくる。
「テレビが若者から離れているのでは?」
「なんでもかんでも『若者の○○離れ』といいますが、なぜ、そこまで若者をターゲットにしたがるんでしょうか。繰り返し、繰り返し、何かの風物詩のように『若者が……』と名指しされる。知らんがなって感じです。いい加減『うっせえわ』と言いたい」
そう憤りを隠さないのは、IT企業に勤める20代の男性会社員・Aさん。「若者のテレビ離れ」については、逆に「テレビが若者から離れているのでは?」と指摘する。
「久しぶりに見たら、クイズや健康系の番組ばかり。情報番組やニュース番組も東京五輪やコロナの話題で、すでにネットにあがっている話が多い。それ以外にも、TwitterやYouTubeなど、こちらが数日前に見たようなネタが地上波でわざわざ紹介されている。情報鮮度として遅いから、若者向けではないですよね。50代の親も『見るものがない』と言うくらいなので、若者どころか中高年にも見向きされなくなる日が来るのでは」(Aさん)
情報取得元は「テレビである必然性がない」
建設会社に勤める20代の男性会社員・Bさんは、「若者のテレビ離れ」について、「テレビの役割が変わったこと」に注目する。
「テレビは、昔は流行を生み出すものだったらしいですが、それは他に情報源がなかったからでしょ? 今は、流行を生み出すのはSNS やYouTube。素人から流行が生まれることが多いわけです。そして、テレビはそれを追いかける側。情報源としての価値はもうあまりない気がします」(Bさん)