夫婦で老後を安心して過ごすには年金だけでは不充分、2000万円もの貯蓄が必要になるとされる「老後資金2000万円問題」。先の見えない年金に加え、医療費や介護費用など、将来への不安は尽きない。老後はなるべく貯蓄を切り崩さぬよう財布の紐を堅く締めておきたいところだが、普段の生活でも、思わぬ出費が強いられることもある。
新潟県に住む野沢智子さん(72才・仮名)は、こんなトラブルに見舞われた。
「息子夫婦が3才になる孫を連れて遊びに来て、リビングでボール遊びをしていたんです。跳ねたボールを捕まえようとした孫がテレビに突進して、倒してしまって……孫にけがはなかったのですが、20万円近くしたテレビの画面は割れて映らなくなってしまいました。
買ったばかりなら補償がきいたようなのですが、どうも、わが家で入っている保険では、身内が壊したものは補償されないようなんです」
幼児に限らず、思春期の子供や、高齢になってからの転倒によっても、家具・家電を壊してしまう可能性は充分にある。
生命保険会社での勤務経験を持つファイナンシャルプランナーの横川由理さんは、壊れたのが自分のものか、他人のものかで、適用される保険が異なると解説する。
「建物だけでなく、家財の火災保険に入り、特約に『家財の破損』をつけておけば、うっかり自宅の家財道具を壊したときに補償されます。
火災保険は、火事に限らず、雨や台風など、さまざまな災害や事故をカバーするものですが、建物の災害よりも、うっかり家財を壊してしまう可能性の方が高いので、家財の破損の特約をつけておいた方がいい。
一方、他人のものを壊した場合は、『個人賠償責任保険』が適用になります。これも前者と同じく、自動車保険や火災保険、傷害保険などに特約としてつけておくもの。年間2000円くらいの保険料で家族全員の過失をカバーできるので、もしもに備えて入っておくと安心です」
ただし、あれこれ特約をつけすぎて保険料が高くならないよう、厳選は必須。“1万円以上のものが壊れたときは補償されるが、それ以下は補償外”と免責金額を設定するなどの工夫で、保険料を賢く抑えたい。
※女性セブン2021年6月10日号