それでは今日明日の生活も行き詰まってしまう。困ったらまず頼るべきは、「不在者財産管理制度」だという。
「生死が不明の行方不明者は法的には『不在者』という扱いになります。本人が失踪して困っている家族などの利害関係人は、家庭裁判所に『不在者財産管理人』を申し立てられます。管理人になれば、行方不明になった人の名義の財産を管理することができるのです。門倉さんの場合は、捜索願を出して2週間以上経過しているので、裁判所から『不在者』と認定されるでしょう」(椎葉さん)
これでやっと夫の口座から生活費が引き出せる。ただし、こんな条件付きだ。
「自宅などの不動産を自分名義にしたり、口座のお金をすべて自分のものにすることはできません。この制度は、あくまで不在者の財産を本人に代わって維持・管理することが目的です。夫には、専業主婦や子供を扶養する義務があるので、妻や子の生活費を引き出すことができる。また、住宅ローンや家賃、生命保険や年金の保険料も、本人の蓄えのなかから払うことができます」(椎葉さん)
※女性セブン2021年6月17日号