自分が亡くなった後、自身の遺言やエンディングノートの内容が原因となり、残された家族が揉めるなどということは極力避けたい。特に「葬儀」や「墓」については、できるだけ家族の負担を減らしたいところだ。
●墓は「とにかく改葬」より「継げる人を探す」
子供が都会に出て暮らしている場合、田舎にある墓を改葬する人も増えているが、焦って進めることで生じる問題もある。相続・終活コンサルタントの明石久美氏はこう話す。
「今あるお墓にお参りする人たちの気持ちを考えないといけません。田舎で代々続くお墓の場合、勝手に改葬するとお参りしている親戚から非難されることもある。
墓は相続財産ではないため、必ずしも子供に継がせる必要はありません。継げる親戚に引き受けてもらってもよいのです。親戚に意向を確認し、『親戚も子供も継げないから改葬する』という状態で進めないと、トラブルになりかねません」
●葬儀は「個性」より「供養する側の立場」
エンディングノートなどで、「こんなお葬式にしてほしい」と希望を残す人も増えたが“個性的すぎる”のも考えものだ。
「もちろん、本人の考えはあるでしょうが、たとえば音楽葬(読経がなく、代わりに音楽を流す葬儀)をしてほしいといった要望だけ押し付けると、子が実行した結果、親戚から“なんだこれは!”と責められたりする。供養する側の立場に立って考えることが大切です。
子供たちと一緒に葬儀社に行って見積もりを取るなどの手順を踏みながら、お互いの考えをすり合わせるとよい。あと、誰に声をかけてほしいかはきちんと伝えておきましょう」(明石氏)
別掲の表には、死ぬ前に家族と相談して準備しておきたい10の手続きと、死後に家族がやる15の手続きをまとめた。家族に恨まれない死に方をするために、準備しておくべきことは山ほどある。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号