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「災害対策基本法」改正のポイント 警戒レベルと警報・注意報の違いは?

警戒レベル発令時は「キキクル」を確認

「危険な場所から全員避難しましょう」とされている警戒レベル「4」だが、悩ましいのは自分の身の回りでどこが「危険な場所」に当たるのかだ。分からない時は、警戒レベル「2」以上になると気象庁のホームページで発表される「キキクル(危険度分布)」を確認すると良い。「土砂キキクル」、「浸水キキクル」、「洪水キキクル」など災害の種類ごとに分かれ、地図上で黄色、赤、ピンクと色分けして危険な場所が示されている。

 黄色は「注意」すべき場所で警戒レベル「2」に相当し、赤は「警戒」すべき場所でレベル「3」に相当、ピンクは「非常に危険」な場所でレベル「4」に相当する。自分が住む地域で避難指示が出た場合、まずはキキクルを確認すると良いだろう。

 平常時に危険な場所を知るには、市町村が発表しているハザードマップを確認するのが良いが、筆者の経験では、ハザードマップを単に眺めているだけでは土地の高低が分からず、「なぜ危険度が高いのか」実感できない場合がある。また、避難する際の経路も、ハザードマップを見るだけでは道路の幅や周囲の状況が掴みにくい。降水量が多くなると、下水溝から想定以上の水が噴き出すかもしれない。

 そうした状況を深くイメージするためには、一度ハザードマップを片手に自宅周辺をウォーキングし、災害の種類ごとに「危険な場所」を確認するのが良いのではないだろうか。実際に歩いてみれば、たちどころに大雨の時に水がどこからどこに向かって流れていくかを実感できることだろう。避難場所も、行政の指定する所だけでなく、親戚の家やホテルなど選択肢を広げられるかもしれない。

 災害対策基本法による防災の全体像は、国・都道府県・市町村の3段階での防災計画や活動だ。だが、そこに欠けているのが「一人ひとりの防災計画」であり、これこそ命を守るために最も重要な要素と言える。何も難しく考える必要はない。散歩がてら頭に描くだけで、いざというときの十分な備えになるだろう。

【プロフィール】
田家康(たんげ・やすし)/気象予報士。日本気象予報士会東京支部長。著書に2021年2月に上梓した『気候で読み解く人物列伝 日本史編』(日本経済新聞出版)、そのほか『気候文明史』(日本経済新聞出版)、『気候で読む日本史』(日経ビジネス人文庫)などがある。

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