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【日本株週間見通し】今週の日経平均はもみ合い?FOMCにも注目

 また、中長期的なインフレへの影響力が大きい労働市場の需給ギャップは、5月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月から倍増したことで、こちらも緩和傾向にある。加えて、供給不足の要因と指摘されている失業保険の上乗せ給付の期限は、多くの州で6月末で終了する。今後も労働市場での逼迫感は和らいでいくことが予想される。中国政府の投機筋に対する抑制策に端を発した商品市況の一服感なども相まって、「インフレ加速・長期金利急騰」への脅威は後退してきている。長期金利が1.4%台と切り下がって安定していることは今後も株式市場をサポートしそうだ。

 さらに、6月のFOMCは無難に消化される可能性が高い。4月雇用統計の公表前、パウエルFRB議長は、「100万人程度の雇用者数の増加が『数カ月間以上』継続することを望む」と述べていたが、5月の非農業部門雇用者数の伸びは前月比55.9万人だ。4月より倍増したとはいえ、金融政策の方針を転換するには材料不足であることは明らかで、6月のFOMCでは、大規模緩和政策の据え置きが決定されるだろう。

 実際、テーパリング(量的緩和の縮小)への警戒感が強ければ、流動性リスクが警戒される中小型株が真っ先に売られるが、足元ではそうした動きは見られていない。東京市場では、FOMCの通過後にあく抜け感から強含むと想定されるが、ほぼ無風で通過することがコンセンサスとなりつつある中、イベント前に先回り買いが入るかもしれない。

 ただ、テーパリングの正式な議論が開始される可能性は低い一方、今後のための地ならしとして、何らかの形でテーパリングが話題に上がることはあるだろう。また、政策金利の見通し(ドットチャート)の中央値は、前回までは2023年末までゼロ金利での据え置きとなっていたが、今会合ではやや引き上げられることが想定される。それでも、これまでに複数の高官が、度々テーパリングの議論開始を許容する発言などをしていることもあり、大きな波乱にはなりにくいと想定する。

 他方、海外要因とは別に日本株の重さがやや気懸かりだ。長らく海外勢が日本株を敬遠する理由としてワクチン接種の遅れが挙がっており、これが上値の重さに繋がっているとの指摘があった。しかし、5月下旬からは国内でも日に日に接種ペースがかなりのスピードで加速している。実際、個別ではアフターコロナ関連への物色が盛んだ。

 それにも関わらず、全体としてはまちまちで、指数はこう着感が強い。ワクチン接種の圧倒的な遅れが日本株を敬遠する一番の理由であれば、それが既に解消されつつある今の時点で海外勢が動いてきてもおかしくないはずだ。接種率が一段と上がれば、動いてくるとの声も聞かれるが、時間的な問題だけで実現していなくて、ほとんど目に見えているような結果を、あえて待って海外勢が動かないのは違和感がある。FOMC通過後には、すんなりと指数が上値を試す展開には案外ならないかもしれないことを頭の片隅に置いておきたい。

 物色としては、引き続きアフターコロナ関連に注目したい。国内でのワクチン接種スピードが加速していることで、5月第4週より、アフターコロナ関連への物色が目立っている。先週末にはさすがに一服感で調整したが、朝方に大きく売られていた銘柄の多くがその後下げ渋っていた。既に3週にもわたって大きく上昇していたことを考慮すれば、物色が変わる局面であれば、後半の下げ渋りは見られないと考える。物色意欲は衰えていないとみられ、経済活動の正常化を見越したアフターコロナ主体の相場はまだ続きそうだ。この傾向は、長ければ、主力企業の4-6月期決算が始まる7月下旬頃まで続く可能性がある。

 そのほか、今週は、15日に米FOMC(16日まで)、米5月小売売上高、米6月ニューヨーク連銀景気指数、米5月鉱工業生産、16日に5月貿易収支、4月機械受注、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、米パウエルFRB議長会見、米5月住宅着工件数、17日に日銀金融政策決定会合(18日まで)、米6月フィラデルフィア連銀景況指数、18日に黒田日銀総裁会見、5月全国消費者物価指数などが予定されている。

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