見学時に、感染症対策について具体的に質問することが肝要なのだ。さらに、「3密を防ぐレクリエーション」の工夫があるかも確認したい。
「レクリエーションは、地域をはじめ外部との接点にもなる重要な機会ですが、コロナで施設内の行動が制限され、部屋で孤立してしまうケースも生まれています。人との接触が減ると認知症が進むといった弊害が考えられます。密を避けるために、屋外やリモートでのレクリエーション、リハビリ、面会を工夫している施設もあります。見学時には必ずこの点を質問しましょう」(高室氏)
コロナ後の世界に対応できている施設を選ばないと、“負け組の老後”に転落するリスクがある。高室氏が続ける。
「これまでは人と人との触れ合いを重視するのが良い施設でしたが、コロナ禍によって接触を減らす方向に舵を切った施設が少なくない。入居者は孤独になるが、なかには省力化とケアの質の維持をうまく両立させている施設もある。インカム(無線機)を導入するなどして、人手が限られていても、何かあったら入居者のもとに迅速に駆けつけられるよう工夫しているところもある」
コロナ対応と称して、単にスタッフや外部と入居者の触れ合いを減らしているだけの施設に入居すると、寂しい老後を送ることになるのだ
※週刊ポスト2021年7月2日号