一方で、兄弟姉妹間で遺産の配分に差をつけようとすると、「どういう理由で兄の取り分が多いのか」「ウチがいちばん介護の負担が大きかったのだから、もっと多くもらえて当然だ」といった不平不満が出がちだ。
何をもって「公平」と感じるかは分からないし、それぞれの希望や不満をひとつひとつ聞いていたら、キリがない。
そこで前出の曽根氏は、「子供に『不公平だ』と指摘されても、親本人が分け方を決めましょう」とアドバイスする。
「そもそも親の財産なので、親が決めればいいのです。子供からすれば『法律的には平等にすべきでしょ。自分にも相応分をもらう権利がある』と考えます。なので、子供同士で決めさせると必ずもめます。
親の立場から物事を決めることがトラブルを防ぐことにつながるのです。家族みんなが同じ情報を共有できるように常にオープンにし、決断の際には曖昧な表現を避けて文章に残しましょう。
その上で、家族会議を開くなら、老後に自分はどうしたいのか、子供の世話になりたいのか、介護施設への入居を考えているのかといったことを子供たちにハッキリと伝え、誰が何を相続するかの方針を立てましょう」
子供の言うことに流されることなく、判断を明確に示すことがトラブル回避につながる。
※週刊ポスト2021年7月9日号