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子供は「費用が無駄」と一蹴、希望する老人ホームに入れぬ70代男性の愕然

 要介護認定は、市区町村の窓口か地域包括支援センターに申請する。早めに要介護認定を受けるメリットとして、「介護保険を使って自宅の改修ができることが大きい」と、横井氏が続ける。

「施設に入る前段階で、自宅を充実させて暮らすほうがQOLを維持できます。バリアフリー改修費は要介護度に関係なく助成を受けられるので、なるべく早いうちに済ませておきたい」

 バリアフリー改修費は手すり設置などの工事費の7~9割が介護保険で助成される(最大18万円)。子に頼らない暮らしを目指すなら、活用することを検討したい。

 お金の管理についても、様々な選択肢がある。「第三者と『財産管理契約』を結ぶ方法があります」と指摘するのは、司法書士の岩本行基人氏。

「財産管理契約は、本人の希望する額を『預り金口座』に移し、司法書士や弁護士が管理する制度です。そうすれば、『施設に入る際の費用にしたい』といった希望を叶えられます。

 ただし、本人が認知症を患うと契約が終了します。認知症が発症したら任意後見制度に移行する『任意後見契約』をあらかじめしておけば、以降も第三者が本人の意向に基づいて、引き続き財産を管理していきます」

 一般に財産管理契約と任意後見人契約は、それぞれ初期費用が10万円程度かかり、その他に財産額や管理内容に応じて月額1万~5万円ほどが必要となる。

 ただし、そうした備えを用意する場合にも、「子供とは絶縁せず、最低限の関係を維持しておきたい」と、岩本氏が言う。

「入院や施設に入所する際など、家族は同意書へのサインを求められることもあります。最低限、“お金の管理については専門家と契約した”といったことは伝えるべきでしょう」

※週刊ポスト2021年7月16・23日号

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