語学留学したけど日本人同士で固まってしまい…
初めての海外経験は、誰でも強烈なインパクトを受けるもの。同級生はすぐに“正気”に戻ったが、Tさんの熱はまったく冷めなかった。それだけアメリカにかぶれれば、英語の成績が伸びても良さそうなものだが、そちらの方はさっぱりダメ。どうにか入れそうな大学に合格し、留学のチャンスを伺うが、厳しい現実にぶち当たる。
「Tはことあるごとに『早くアメリカに行きたい』と言っていましたが、TOEICの点数は300点台。留学するには500点ぐらいは必要なので、留学は到底無理です。やむなくバイトでお金を貯め、語学留学という形でアメリカに飛びました。大学の学費は捨てたようなものですが、Tの両親は『英語が出来るようになれば良い』と、渋々送り出したようです。
しかし、現地の語学学校で入れられたのは一番下のクラス。そこは日本人ばかりで、結局日本人同士で過ごしてしまい、ロクに英語が上達しないまま、アメリカの雰囲気だけ味わって帰ってきました」
せっかく留学したはずなのに日本人同士で固まってしまうのは、典型的な“ダメ留学生あるある”だ。それでも周囲はTさんのことを温かい目で見守っていたが、ある日、ついにTさんの場違いな行動が反発を買うことになる。
「同級生の1人が若くして突然亡くなってしまい、友人一同が呆然としている時、TはSNSにコメントを寄せましたが、それがなぜか英語で、しかもポエムのような内容だったため、友人たちは呆れ返りました。
そこに追い打ちをかけるようにTが葬式にサングラスを掛けて現れたため、気の荒い同級生が『何様だ!』と激怒。周りも同調し、Tは同級生から一斉にSNSのフォローを外されました。飲み会や同窓会の連絡はすべてSNSなので、事実上、同級生との交友は途絶えました」
現在はコロナで飲み会や同窓会はお預けだが、「コロナが終わっても、Tを誘うヤツはいないはず」という状況だとか。アメリカにも地元にも行き場のないTさんがどこに向かうのか、同級生たちは冷ややかに見つめているそうだ。