この最高裁の判例では、賃貸借契約書に退去時の修繕費について賃貸人と賃借人の分担表が添付されていましたが、補修を要する基準を「汚れ」「生活による変色」などと定める程度であったので、通常損耗を含むか一義的に明白ではないとして、賃借人の通常損耗の修繕義務を否定しました。
もしあなたの賃貸借契約上で、退去時には、劣化汚損の原因を問わず、畳の張り替え費用を負担するなどの記載があるとか、その説明を受けていたというようなことがなければ、通常損耗の修繕義務を負う合意がないので、大家は修繕費を敷金から差し引くことができません。逆に、金額もわかるようにして修繕費負担の記載がされていれば、それを承知して契約した以上、畳の張り替え費用の負担はやむを得ません。
しかし、その金額が過大だったり、途中解約の場合などで全額負担が不当となる場合、その負担合意は民法の信義誠実の原則に反し、消費者であるあなたに一方的に不利益なものといえ、消費者契約法10条により無効になります。消費者センターなどに相談してください。
※女性セブン2021年7月22日号