コロナ禍でも業績を伸ばした企業といえば、「巣ごもり需要」関連が多かった。なかでも手元のスマートフォンやパソコンで簡単に検索・注文できるフードデリバリーやインターネット通販は、この間、利用者数が右肩上がりで伸びているようだ。便利で手軽な上、対面での接触を最小限にするという感染予防の面では有効だが、人によってはデメリットを感じることもあるらしい。最近、「人とのコミュニケーションを求めて、ネット通販から卒業した」という30代女性に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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総務省が今年7月に発表した家計消費状況調査によると、全国2人以上の世帯のうち、2021年5月にネットショッピングを利用した割合は前年同月比1.6ポイント増の52.1%だった。新型コロナウイルスによる巣ごもり消費の増大が、その伸びを後押ししているようだ。時と場所を選ばずインターネット上で買い物ができるシステムは、日々を忙しく送る人々の生活スタイルに合っているのではないだろうか。
とても便利なネットショッピングだが、都内在住の人材派遣会社勤務、増田春子さん(仮名・32歳)は、“卒業”することを決めたそうだ。
「もともとはステイホームをきっかけに、ネットショッピングに目覚めました。翌日には手元に届くし、クーポンを上手に使えば店舗で購入するよりも安く手に入ることもあります。もっと早く利用すれば良かったと思いましたね」(増田さん、以下同)
増田さんが主に購入してるものは、洋服やファッション小物。お気に入りの通販サイトは10を超えるという。セール時期やお得なクーポンが発行されると注文しすぎてしまうそうで、玄関前にダンボールが積まれた状態で放置されていることも少なくないそうだ。
「ついつい買いすぎてしまうほど安くて気軽なインターネット通販ですが、悩みはサイズについて。フリーサイズと言っても、細身だったり大きめだったり……。特に靴のサイズには悩まされることが多いです。返品交換無料のサイトもありますが、正直作業が面倒。返品せずにフリマサイトに出品して処分することも増えました」