そんな「人気の街」が将来の下落リスクを抱えている結果となった理由を榊氏が推測する。
「現在、テレワークの浸透で郊外の広めの住宅が注目されているのは事実です。しかし長期的な資産価値という視点で見ると、決して見通しが明るいとは言えません。
マンションにしろ戸建てにしろ、資産価値に大きく影響するのは依然として『都心へのアクセスの良さ』と『利便性』です。その点では郊外の物件は有利とは言えない。
特に八王子などの多摩エリアでは、すでにマンションが乱立しており、今後も新築マンションの計画が多数ある。供給過多の状態なのです」
東武練馬(2位)、花小金井(6位)など、私鉄沿線のベッドタウンも「落ちやすい街」の上位となった。
こちらは「郊外」であることに加え、「最寄り駅の路線」もネックとなった。長谷川不動産経済社の長谷川高氏が語る。
「これまでの売り手市場では通勤に多少の難があっても売れましたが、都心に近い物件ほど売れやすいという傾向はいまだに根強い。それをAIが反映させた結果、都心までのアクセスが劣る東武東上線、西武新宿線、京王相模原線などの駅が『落ちやすい』と評価されたと考えられます」
一方で「落ちにくい街」は原宿(3位)や代々木(16位)などのメジャー駅が上位にランクインしたが、1位は一日の平均乗降人員数が約1万4000人と知名度の低い参宮橋だった。
「近年では、ターミナル駅から一駅、二駅離れた街の物件が、落ち着いた生活環境からトレンドとなっています。参宮橋は、明治神宮や代々木公園が近く、緑豊かで、新宿や渋谷にも自転車で気軽に行くことができる。知名度は高くないですが、環境も良く利便性の高い地域です」(長谷川氏)