経営者たちの「住まい」に変化が起きている──。東京商工リサーチが調査した全国の「社長の住む街」の最新ランキングでは、2年連続で港区赤坂がトップに輝いた。さらに六本木、南青山、高輪、三田など、港区がトップ10のうち7枠を占めた。
一方でトップ10圏外に転落したのが、2003年の調査でトップ3だった大田区田園調布、世田谷区成城、練馬区大泉学園町だ。東京商工リサーチ情報本部の永木緋鶴氏が指摘する。
「社長のステータスが閑静な住宅街の一戸建てから、都心の高級タワマンに変化しました。今回の調査結果は分譲と賃貸住宅が混在している。IT系企業の若手社長などが、賃貸で高級タワマンに住んでいるケースが多い」
昔は芸人の星セント・ルイスによる「田園調布に家が建つ!」というネタが流行したが、時代は変わった。不動産ジャーナリストの榊淳司氏が指摘する。
「バブル以降、維持費のかかるお屋敷的な戸建てよりも外部や共用部の修繕が必要ないマンションが住みやすいとされるようになった。特に港区や中央区では建築物の容積率が緩和され、ジムやパーティルームなどを併設した高級タワマンが建設ラッシュになり、富裕層が集まるようになりました」
港区が持つ「利便性」もポイントとなった。前出・永木氏がいう。
「東日本大震災以降、“職住近接”のメリットが意識されるようになり、都心から少し離れた田園調布や成城が敬遠され始めた」