湾岸エリアの中心となる豊洲駅を挟んで隣同士の辰巳と月島も、それぞれ「落ちやすい10位」、「落ちにくい17位」と差がついた。
「辰巳は1990年頃からの再開発で注目されたエリアですが、現在も団地と一部住宅街があるほかは物流倉庫や工場が多い。
一方の月島は明治時代から多くの人が住み、いまも下町的な人気の商店街が残っています。また、東京メトロに加えて00年に都営大江戸線が開通したことで土地開発が進み、スーパーや銀行、学校などの生活インフラが整っている。相対的な住みやすさで評価が分かれたのでしょう」(同前)
高級住宅地として名を馳せた街が
月島のように複数の路線が利用できることだけでなく、「どの路線にあるか」も今後を占う上で重要だ。不動産ジャーナリストの榊淳司氏が語る。
「代表例が花小金井(落ちやすい6位)と東小金井(落ちにくい32位)です。同じ小金井市ですが、前者は西武新宿線で後者はJR中央線です。
西武新宿線はメインターミナル駅への直接の乗り入れがなく利便性に欠けますが、JR中央線は東京、新宿を通り、さらに『中央線文化』を担う中野や高円寺にもアクセスできることが将来性に影響したのではないか。同じようなマンションでも私鉄沿線と比べて2割ほど価値が高くなることがあります」
池袋(落ちやすい21位)と秋葉原(落ちにくい7位)は同じ山手線のメジャー駅だが、価値に大差がついた。
「秋葉原はここ数年、鹿島建設などが大開発を行なっており、街全体の住みやすさが向上しています。サブカルチャーの街として若い世代に訴求力があるのは勿論、アフターコロナのインバウンド需要が期待でき、今後さらなる発展が見込める。秋葉原周辺への期待値は非常に高く、落ちにくい2位の上野御徒町や同7位の御徒町などは秋葉原に引っ張られてランクインした可能性があります。
一方、池袋は、東口エリアでは大規模な都市開発が行なわれていますが、その他の西口や北口は未だ手つかずのエリアです。その差が将来の資産価値に現われたのでしょう」(同前)
上り調子の新興勢力があるなか、高級住宅地として名を馳せた成城学園前は「落ちやすい33位」に沈んだ。
「かつての人気エリアですが、都心の真ん中にタワマンが立ち並ぶ現在は、成城学園前から都心へのアクセスが遠くて不便に感じられるようになり、資産価値に低下傾向が見られます。今回のランキングには入りませんでしたが、かつて高級住宅街として知られた田園調布や聖蹟桜ヶ丘も、成城学園前と同様に価値が下がっていきそうです」(同前)