しかし、憲法では成年者の投票を保障し、「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない」としています。あなたには投票依頼に従う義務はなく、投票内容を話す必要もありません。選挙運動への参加を求められた場合でも、選挙運動は労働契約の目的である業務ではないので、業務として命じられたとしても拒否でき、解雇されても無効となります。
ただし、雇用契約時の条件明示書中に、選挙運動への協力が業務としてあれば別です。その場合には、仕事として割り切るか、信条に反するなら辞めるかです。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号