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マルハニチロ社長が語る冷食と水産業「日本の未来は魚食が支えます」

水産事業は「成長産業」だが、資源保護も課題(写真はクロマグロ漁)

水産事業は「成長産業」だが、資源保護も課題(写真はクロマグロ漁)

冷凍食品なのに“おこげ”

──マルハ(大洋漁業)は2007年にニチロ(日魯漁業)と経営統合、マルハニチロとなりました。現在は水産事業に加え、冷凍食品や加工食品も事業の柱です。コロナ禍の影響で、家庭向け冷凍食品は堅調が続いているそうですね。

池見:昨春の最初の緊急事態宣言の時は、先行きの不透明感から「食料を確保したい」という需要が高まったようで、缶詰やレトルト食品がよく売れました。2度目の宣言からは冷凍食品、とくにお総菜や中華料理のおかずなど「家族みんなで食べられるもの」が人気を集めています。

──人気商品は?

池見:やはりサバ缶ですね。とくに「月花さば水煮」は、サバの脂が一番乗っている10~12月に獲れるものを主に使っているため、味と品質には自信を持っています。

 数年前のサバ缶ブームをきっかけに、100円前後の安価なものがたくさん出回りましたが、消費者の皆さんは「美味しいもの」と「そうでないもの」を見分けてくださった。だからこそ、295円(税抜き)という価格でも売れ続けているのだと思います。

 冷凍食品では「ガブッと!シリーズ」という、文字通りガッツリ大ぶりなフライ商品もいい。白身魚フライはアラスカ産のスケトウダラを使用しており、環境・資源に配慮した「持続可能な漁業」の証であるMSC認証を得ています。

 私自身がハマっているのが「石焼風ビビンバ炒飯」。冷凍食品なのにおこげができるところがポイントで、売れ行きも好調です。缶詰の「さばのカレー煮」もいいですね。子供の頃に食べたような懐かしいカレーの味わいがあるサバ缶です。

日本の魚消費量は減少中

──その他の注力分野は?

池見:特に力を入れているのが介護食です。高齢化社会が進んで在宅介護が増え、病院や介護施設でも人手不足で介護食を手作りすることが難しくなっている。そのため介護食を冷凍食品で賄うニーズは大きい。

 我々は食材を酵素分解したり、適度なやわらかさのムースやゼリーを製造することができますので、高齢者の咀嚼力に合わせて商品をお選びいただくことができます。

 日本の健康と長寿を支えてきたのは、紛れもなく魚食です。それを事業の中心とする我々が、高齢者の食事を支えることは非常に重要だと考えています。

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