政府(国)と都の間では、赤字負担の押しつけ合いが始まっている。五輪招致時の立候補ファイルでは、大会が赤字になった場合はIOCは負担せず、開催都市の東京都が原則として穴埋めすることになっている。
そのため、丸川珠代・五輪相は会見や国会で「都が財政的に補填できない事態はおよそ想定し難い」と発言、加藤勝信・官房長官も「万が一組織委員会が資金不足に陥った場合、東京都が補填する」と同調し、それに対して小池百合子・東京都知事は、「想定外の事象が生じた場合はIOC、政府、組織委を含めて協議が必要」と国にも分担を求める構えだ。
「追加費用は第一義的には東京都が負担し、払えないときは政府が責任を持つことになっている。都はオリパラや感染対策で財政が圧迫されているのは事実。最終的には半々ずつ出すことになるのではないか」(本間氏)
国と都のどちらが赤字を補填することになっても、政治家が自腹を切るのではない。一般会計から拠出するなら税金や公債発行が財源となり、国民や都民がツケを払う。
組織委の赤字の他に、国や都の五輪感染対策費も膨れあがっている。赤字補填や追加負担を含めると五輪の総費用は「4兆円」に迫ることになりそうだ。
テレビ観戦しかできない五輪に、それだけの価値があったと思う国民はどのくらいいるだろうか。
※週刊ポスト2021年8月13日号