土日も病院に出勤していた鎌田さんは生活を見直し、体のために日曜日は息抜きが必要だと、スキーを始めた。
「いざやってみると、自分が想像する以上に足腰が弱っていることに気がつきました。自分の体を見直し、早くもガタがきていることに気がつけたのは大きな収穫です。その後、筋力をつけて、3年ほどかけてスキー1級の資格をとりました。
子供の頃から書いてみたかった本の出版にチャレンジしたのもこの頃です。中年期の危機は、確かにつらかったけれど、いま振り返ればそれは“成長痛”だった。この時期に自分と向き合い、新たな人生をスタートさせることができれば、実りある晩年を迎えることができる」
鎌田さんのように危機を転機に変えることができれば、人生の後半は輝きに満ちたものになるだろう。
【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年東京都生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後に36年間、医師として地域医療に携わり、現在は諏訪中央病院名誉院長を務める。著書に『ミッドライフ・クライシス』)(青春新書)など。
※女性セブン2021年8月12日号