駅前や公園に集まる鳩が大量に落とす糞や羽根は、景観の悪化だけではなく、健康に悪影響を及ぼす可能性もあるという。また、餌をまく人がいるがゆえに、鳩が集まってくるケースも。こうした給餌する人に、法的に対処する方法はあるだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
近所に“鳩の餌やりおじさん”がおり、迷惑しています。その給餌のせいで鳩が飛来、糞をまき散らしています。注意しても「餌やり場の駐車場は私有地だし、掃除もしている」と聞き入れてもらえず。掃除といっても、水を撒くだけで不十分。このおじさんの行動を止めるには、どうすればよいですか。
【回答】
鳩への給餌による周辺の迷惑が問題になっており、多くの自治体が鳩の餌やりを止めるように求めています。給餌により、野鳥を集散させ、鳴き声や糞害、羽毛の飛散などで周辺住民の身体、もしくは財産、または生活環境に著しい被害を生じさせる迷惑行為をしないよう求める条例を制定している自治体もあります。ただ、努力義務にとどまっているのが現状です。
とはいえ、餌やりの結果、隣近所や周辺に不愉快な思いをさせているにとどまらず、具体的な被害が発生した場合、その程度がひどいときには、給餌行為が不法行為となり、損害賠償請求や中止要求も可能である、と思います。
これは野良猫のケースですが、商店や住宅の混在する街で、猫好きの住民が家の前で捨て猫に餌をやり始め、徐々に野良猫が増え、近所の家の建物内や敷地内に入り込み、周辺に糞尿をし、悪臭を立てて強い不快感を与えたことが、問題になった判例もあります。