しかし、中内さんの母のように、家族に話をしないまま急に亡くなってしまうケースは避けられない。そんなとき、亡くなった人の名義の銀行口座があるかどうかを全支店にわたって調べてもらえる「全店照会」という方法が役に立つ。思い当たる銀行に、
(1)被相続人の死亡事実が記載された除籍謄本、(2)依頼者が相続人であることを証明する戸籍謄本、(3)依頼者の印鑑証明書と実印、(4)依頼者の運転免許証などの本人確認書類を提出すればいい。開示請求手続きの費用は、三菱UFJ銀行なら1件につき7370円だ。相続・終活コンサルタントで行政書士の明石久美さんが言う。
「亡くなった母親の旧姓の口座でも、同じ銀行なら旧姓がわかる書類があればすぐに調べてもらえます。ただ、全店照会はメガバンクが中心のサービスなので、対応できない銀行もあります。また、“せっかく開示費用を払って苦労して口座を見つけたのに、1000円も入っていなかった”というケースもあるので、全店照会は一か八かの賭けになることも」
開示費用は一行ごとにかかるので、闇雲に開示請求するのは得策ではない。まずは通帳やキャッシュカード、銀行から郵送されてきた通知などを手掛かりにして、残高がどれくらいあるか確かめてから行動を起こそう。
※女性セブン2021年8月19・26日号