「メビウス」580円、「セブンスター」600円──。10月1日からのたばこ税増税に伴い、JTは紙巻きたばこなど173銘柄の値上げを発表した(加熱式たばこは含まれない)。愛煙家の悲鳴が聞こえてきそうな状況だが、2018年以降、たばこ税増税・値上げは段階的に実施されており、現行の税制では2022年10月の加熱式たばこの増税まで続くことが決まっている。フリーライターの吉田みく氏が、たばこの値上げをきっかけに夫婦関係にひびが入りそうだという埼玉県在住の30代主婦に話を聞いた。
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埼玉県在住のパート主婦・三浦早苗さん(仮名・34歳)は、「たばこ値上げ」のニュースを聞き夫に禁煙を強く勧めたところ、夫婦喧嘩に発展してしまったという。現在は同世代の夫と2人でマンションに暮らしている。
「趣味と呼べるものもない夫の唯一の気晴らしは、たばこを吸うこと。しかも超がつくほどのヘビースモーカーです。私はたばこを吸わないので、結婚を機にやめてほしいと言っていたものの、今まで一度も禁煙したことがありません。これまでも値上げされるたびに話し合いはしていましたが平行線のまま。夫からたばこの魅力を伝えられたこともありましたが、全然共感できません」(三浦さん、以下同)
三浦さんの夫は1箱540円のたばこを吸っている。月3万円のお小遣いの中から賄っているものの、月末が近くなると足りなくなるのか、お小遣いの前借りをせがんでくるという。この10月からは更に1箱当たり40円の値上げになるため、「貸す頻度が上がりそう」と不安になっていた。夫に貸したお金が返ってくることは数えるくらいしかなく、毎月の家計は常に赤字ギリギリの生活。貯金もできないので、将来に対しても不安を抱えているようだった。
「お金がかかることも気になりますが、やはり健康面も心配です。夫には長生きしてほしいので。少し強引ではありましたが、離婚をちらつかせながら、夫に禁煙するように伝えたんです」
妻の説得により禁煙した夫。代わりに始めたのは…
時には強い口調で、禁煙するよう説得したと話す三浦さん。その甲斐もあってか、今まで禁煙してこなかった夫の様子に変化がではじめたという。
「『君の気持ちはよく伝わったよ』と、ついに禁煙を決意してくれました。長年の説得の賜物だと思いました。でも、そこから夫の行動が少しずつおかしくなり始めたんです」