数あるテレビCMの中で印象的なのが、社長やスタッフ自ら自社商品を紹介するCMだ。あえて有名タレントを起用しない理由や撮影時の苦労、CMの反響などについて、『カーポートマルゼン』社長の米岡功二さんに話を聞いた。
イケメン3人が横に並び、笑顔でタイヤを転がしながら、「タイ~ヤマルゼン♪タイヤマルゼン」と歌うCMが誕生したのは、2009年のことだ。
「放送後すぐに話題になって、会社のホームページにアクセスが殺到。サーバーを強化したにもかかわらず、半日でパンクしました。いまで言う、バズったってことですよね」
そう懐かしそうに笑顔で話すのは、“タイヤマルゼン”こと、『カーポートマルゼン』の社長・米岡さん。
1960年に『丸善タイヤ商会』としてタイヤのパンク修理からスタートし、1981年にタイヤやホイール、車のオーディオ、シートなどのパーツを販売する小売業として創業。だが、家族規模の小さな店舗で大型量販店と勝負するのは難しいと判断し、1988年にタイヤとホイールを中心に扱う販売店となる。
「2007年に埼玉店を開店させたのを機にCMを作ることになり、芸人さんが登場するバージョンを作りました。これは話題になりましたが、放送開始から半年でそのコンビが解散。放送できなくなってしまったんです。芸能人を起用するのは、リスクもあるし、放送権利料が高額になってしまう。それならスタッフが出演しようと、決意したんです」(米岡さん・以下同)
撮影場所に選ばれた枚方店の販売スタッフが出演することになり、メインは社長を含む3人が選ばれた。
「あのフレーズは、制作スタッフらと協議を重ねる中で生まれたものです。最初の撮影は、カメラ目線で笑顔をキープしながらタイヤを転がすのに一苦労。テイク40を重ねてようやく納得するものが撮れたんです」