世界的な半導体不足が止まらない。トヨタ自動車は8月19日、9月の生産計画(グローバル)について4割ほど減らす方針を明らかにした。理由は東南アジアにおいて半導体などの部品供給が不足しているためだ。
東南アジアでも新型コロナウイルスの変異種「デルタ株」は猛威を振るっている。米国ジョンズ・ホプキンス大学の発表によれば、8月24日時点で、インドネシアの感染者数(累計)は398万人で世界第13位。フィリピンは184万人で21位、マレーシアは156万人で25位である。そのほかタイでも100万人を超えている。
半導体不足については、これらの国の内、特にマレーシアでの感染拡大の影響が大きい。なぜなら、グローバルで事業を展開する半導体サプライヤーの多くがマレーシアに工場を構えているからだ。上流工程に加え、実装、検査などの下流工程を行う工場も多い。
マレーシア政府は感染拡大防止策として主要地域において都市封鎖を行っている。従業員が工場に出社できないため、生産が滞っているのである。
現在、流行中のデルタ株は従来種と比べ感染力が強い。その一方で、マレーシアのワクチン接種状況は先進国と比べて大きく遅れている。今後、都市封鎖が長引く可能性は十分あり、半導体の供給制約は簡単には解消しないだろう。
半導体需要は大きな拡大期を迎えている
ただ、半導体の需給逼迫において、供給側の要因は一面に過ぎない。むしろ需要側の要因の方がより深刻と言えるかもしれない。
米国による“ファーウェイ(華為技術)封じ”の影響で、中国企業が半導体を買い漁っている。中国当局が8月2日、半導体市場における投機行為について、容認できないと発言するほどの事態だ。