コロナ禍で迎えた2度目の夏休み。これまでなら多くの家庭で「実家への帰省」が定番の過ごし方となるところだったが、感染拡大が一向に収束の気配を見せないなか、昨年に続き今夏も例年通りとはならなかった。また、ひと口に「帰省」と言っても、実家が遠方かそうでないか、地域の感染状況がどうかなど、状況は家庭により異なる。フリーライターの吉田みく氏が、今夏、一人暮らしの父を見舞うため帰省を敢行した40代主婦に話を聞いた。
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新型コロナウイルスの新規感染者が爆発的に増え続けている中で迎えた今年のお盆。くらし情報メディア「ヨムーノ」の運営会社が読者100人超を対象に実施した「夏の過ごし方に関するアンケート調査」によると、「今年は帰省予定」と答えたのは26.5%で、「昨年帰省した」と答えた人(19.6%)より7ポイント増加した。今夏も帰省に慎重な人が多い傾向は変わらないが、帰省する理由としては「ワクチン接種済み」や「実家が同じ県内にある」などが多くを占めたという。
埼玉県在住の専業主婦、竹田かなさん(仮名・45歳)は、コロナ禍での帰省を巡り、近所に住むママ友と意見の食い違いが起きたことを話してくれた。夫と7歳の息子の3人で暮らしている。
「東京に緊急事態宣言が出されているなかでのお盆休み。過ごし方についてはすごく悩みましたが、今年は帰省する選択を選びました」(竹田さん、以下同)
竹田さんの実家は隣の県。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに帰省を控えていたものの、高齢かつ一人暮らしの父親のことが気がかりで足を運ぶことを決めたという。本来ならば、父に孫の顔を見せたかったが、今回は我慢して、1人で帰省することにしたそうだ。
「ワクチンは2回接種済み、民間のPCR検査キットで陰性を確認してから実家へ向かいました。父からは『無理して来なくても大丈夫だよ』と言われましたが、1年以上も顔を見ていなかったので心配で……。1泊2日のプチ帰省を決めたんです」
移動は自家用車で1時間半ほどの距離。実家の様子は、「部屋は散らかっていたものの、父は想像していたよりも元気でした」と、竹田さんは話していた。しかし一点気になることがあったという。
「父は私の車のナンバープレートを近所の人に見られることをすごく気にしているようでした。私は父のためを思って会いに行きましたが、もしかしたら迷惑なことをしたのかもしれないと、複雑な気持ちになりました」