東大、京大をはじめとする旧帝国大学や、私学の雄と言われる早稲田・慶応など、レベルが高いと言われる大学を卒業すれば、就職や結婚など人生の多くのシーンで恩恵を受けられる機会もあるのではないだろうか。だが現実には、そういった大学に進学できる人たちは一握り。いわゆる「トップ層」に手が届かず、あるいは興味がなく、「中堅大学」と呼ばれるレベルの大学に進学した人たちの中には、社会人になってから「学歴の壁」を目の当たりにする人もいるようだ。
大手企業にいた時は気楽な立場だったが…
「そこまで深く後悔はしていませんが、今の会社のサイトに掲載してもらう社員プロフィールでは、正直出身大学名はあまり大っぴらにしたくないです」
そう本音を漏らすのは、IT企業に勤める20代男性・Aさんだ。都内の中堅私立大学付属中高一貫校を経て、「受験しないでいいから」とエスカレーター式に系列大学に進学した。卒業後、東証1部上場企業を経て、現在はベンチャー企業で働いている。同僚から大学名を聞かれた時、最初の会社と今の会社では、その反応も異なっていたという。
「大手企業の同僚には東大卒や早慶卒も多く、何かの折に僕の出身大学がわかると、『へー』と誰も興味をもたないか、『誰々の出身校だよね』ぐらいの反応でした。僕は出世欲がなく、配属された部署も“キャリアコース”じゃなかったので、相当気楽な立場でした。逆に想定外の成果を出せばめちゃくちゃほめてもらえました。
反対に、今いるベンチャー企業はある意味怖い。出身大学がバレると、同僚の態度が少し横柄になったのを感じました(笑)。こんなやつに負けられない、という意識からでしょうか」(Aさん)
学歴にコンプレックスは『ほぼない』と言うAさん。では、なぜ社員プロフィールに出身大学名を載せたくないのか。
「メリットがないじゃないですか。東大、京大、東工大、早慶とかなら優秀というフィルターがかかるでしょ。僕は、一度取引先の社長から、『〇〇大卒なんているんだ』と目の前で冷めた感じで言われて、結構傷ついたこともあります……。結局どこにいっても学歴って背負っちゃうんだな、としみじみ思ったのはその時です」(Aさん)