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携帯投資なければ楽天の営業黒字1000億円、三木谷氏「それのどこが面白い」

三木谷浩史氏と孫正義氏のこれまでの歩み

三木谷浩史氏と孫正義氏のこれまでの歩み

 実は楽天グループの業績は“絶好調”だ。売上高にあたる「売上収益」は前年同期比17%増の7936億円。コロナ禍の「巣ごもり需要」で国内EC事業の売り上げが増え、クレジットカードのショッピング取扱高は4~6月期に前年同期比30%超の伸びを見せた。ECを主体とする「インターネットサービス事業」が589億円の黒字(前年同期は21億円の赤字)となり、金融の「フィンテック事業」の営業利益も前年同期比15%増の470億円となった。

 何もしなければ、営業黒字が1000億円を超える好決算。国内のEC、フィンテックは確固たる地位を築いており、収益基盤はちょっとやそっとで揺らぐものではない。じっとしていれば優良企業なのだ。だが起業家・三木谷の考えはこうだ。

「それのどこが面白い」

 盤石であればこそ、次の勝負に打って出るチャンスではないか。目の前に美味しそうな魚の群れがいるのだ。飛び込まない手はない。

 2021年1~6月期の携帯事業への設備投資額は約2400億円で「モバイル事業」は1972億円の赤字になった。赤字額は前年同期の892億円から拡大した。これが足を引っ張ってグループ全体の営業損益は1008億円の赤字(前年同期は207億円の赤字)になった。有利子負債額は2021年6月末時点で2兆6000億円と、この2年間で1兆円強増えた。負債の急増を懸念し、格付け機関S&Pグローバル・レーティングは7月下旬、楽天の長期発行体格付けを「トリプルBマイナス」から投資不適格水準の「ダブルBプラス」に1段階引き下げた。

 11日の記者会見で筆者は問うた。

「携帯事業を軌道に乗せるために先行投資が必要なのは分かるが、財務の健全性も重要で、いつまでも赤字を続けるわけにはいかない。リスクとリターンのバランスをどう取るのか」

 三木谷はこう答えた。

「自前ネットワークの人口カバー率が97%になる2022年3月から、ローミング費用(楽天のネットワークが届かない場所をカバーするためにKDDIから借りているネットワークの使用料)が大幅に減る。世界中の携帯キャリアからRCPを検討したいとコンタクトもある。その間に、皆さんがあっと驚くようなパートナーとの提携がまとまるかもしれない。来年の春を境に、大きく景色が変わるでしょう」

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