投資情報会社・フィスコが8月30日~9月30日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。米雇用情勢は改善しつつあり、量的緩和策の年内縮小観測は後退していないことから、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。9月21-22日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では、委員による金利見通しで早期利上げの期待が残る。そのため、9月第一週に発表される雇用関連統計が堅調な内容なら、ドル買い基調は継続しそうだ。
今週は8月ISM製造業景況指数における雇用指数、8月ADP雇用統計、新規失業保険申請件数、8月雇用統計などの経済指標が注目されそうだ。いずれも市場予想を上回る強い内容だった場合、長期金利の上昇を手がかりにドル買いが入りやすい。一方、米国株式市場では、NYダウ平均、S&P500種、ナスダック総合指数など主要株価指数の過去最高値更新が相次いでいる。大幅な値上がりで過熱感も指摘されるが、株式市場で強気相場が続けばリスク選好的なムードが広がりやすい。ドルには安全通貨としての売りが見込まれる半面、株高を意識したリスク選好的な円売りがドル・円相場を支えるだろう。
足元では米国内で新型コロナウイルスデルタ株のまん延が警戒されており、経済正常化への期待はやや後退している。感染者数の増加は懸念要因だが、アフガニスタン情勢の混迷でユーロ、豪ドルなどに対する米ドル買いも観測されており、この影響で米ドル・円相場が円高方向に大きく動く可能性は低いと予想される。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月1日発表予定)
9月1日発表の米8月ISM製造業景況指数は、59.0と、前回の59.5を下回る見通し。ただし、雇用指数が前回実績を上回った場合、量的緩和策の早期縮小観測につながりやすい。
【米8月雇用統計】(9月3日発表予定)
9月3日発表の米8月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+80.0万人、失業率は5.2%の見通し。非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回った場合、量的緩和策の早期縮小観測は後退し、リスク選好的なドル買いは弱まりそうだ。