人生の後半戦は仕事や子育てなどから解放され、自分らしく生きることが可能になる。その際に見直したいのが、長年放置してきた不要な契約や無駄な出費だ。ファイナンシャルプランナーの丸山晴美氏が言う。
「人間は長く生きていると、その分モノや各種契約が増えて不要な出費が重なりがち。ある程度の年齢になったら集約していきましょう。整理整頓すれば管理が楽になるし、無駄な手数料や月会費などを減らすことで、老後の家計が楽になります」
現役時代は生活費や住居費、教育費などがかさんでお金の出入りが激しく、ライフステージに応じて、複数の銀行口座や生命保険などの「備え」が欠かせなかった。しかし収入も出費も落ち着く人生の後半戦は、これまで漫然と維持していた契約を見直して「身軽」になる絶好の機会と言える。
たとえば、子供が独立する50代後半からは保険の保障が手厚くなりすぎていないかを見直したり、リタイア後は不要なクレジットカードを解約して出費を減らすといった人生の「終い方」を考えていく必要がある。
不要な契約を見直すことは、リスク回避にもつながる。
以前は銀行の通帳や株の証券など目に見える財産が多かったが、デジタル化が進んだことにより、財産が、“見えにくい”というリスクがある。
「株を保有している場合、以前は株券が紙として残っていましたが、いまは株券電子化で発券されません。名義人が亡くなった際に家族が株を保有していたことを把握しにくく、遺産分割が不正確になる可能性があります。
大切なのは、残された人の負担を考えて生前に売却や解約を進めたうえで、何がどこにどれだけあるかを一覧(財産目録)にしておくことです。財産が整理されていると、一覧の作成がスムーズになるというメリットもあります」(丸山氏)