人生の終盤は身軽に生きたいものだ。田舎にあるお墓も、手入れする人がいないなら「墓じまい」を考えたい。葬儀・お墓・終活コンサルタントの吉川美津子氏はこう言う。
「お墓に手を合わせる人がいなくなると荒れてしまう。さらに足が遠のき悪循環になることも。それを主眼に考えた時、必要であれば田舎にあるお墓をたたんで、親戚縁者が集いやすい場所に移すことも選択肢のひとつです」
ただし、進め方には注意が必要で、別掲図はその流れを整理したものだ。
「先祖代々のお墓であれば多くの縁者が関係するので、親戚間の話し合いが重要です。仮に親戚のなかにお墓を守れる人がいるなら、そもそも墓じまいの必要はなくなります。遺骨を移す場合も、どこに移すのかについて家族・親戚と相談して決めることで、トラブルが避けられます」(吉川氏)
菩提寺など、いまのお墓の管理者にも丁寧に事情を説明できるとよい。
「最近は過疎化が進む地域の寺院などはある程度、覚悟していて、大きなトラブルにはなりにくい。ただ、離檀する場合は、これまでお世話になったお礼の意味でお布施を包む慣習があります。普段の年忌法要などの2~3回分を目安としてはいかがでしょうか」(吉川氏)
遺骨を移すお墓を先に購入し、その管理者から受入証明書を取得しても、もとのお墓を管理する菩提寺などから埋葬証明書に署名や捺印をもらうなどの必要がある。礼を失した切り出し方で関係がこじれると墓じまいができないうえ、購入したお墓も無駄になってしまう。