「当時、時流に沿う形で指数を見直したのはいいとしても、あまりにも大幅な入れ替えだったため、あの時点で指数としての連続性を失わせてしまったのです。それ以降、上場廃止などがない限り、大幅な入れ替えはなかったのですが、それによって“歪なインデックス”になってしまった。日経平均がようやく3万円台を回復したとはいえ、すでにTOPIX(東証株価指数)はバブル後の最高値を更新、日経500平均(500銘柄で構成)も史上最高値を更新しており、日経平均(日経225)だけが遅れをとっている格好です。
遅れを取り戻そうとしたわけではないでしょうが、今回は“なぜ任天堂などが日経平均に入っていないのか”といった声が長く続いていたこともあって、なんとかして入れるために、株価換算係数を導入した。指数としての連続性を失うという意味では、“ダメ押し”をしてしまったような格好です」
そうした経緯からか、今回の構成銘柄の入れ替えには市場も厳しい目を向けているようだ。和島氏も、必ずしも「ポジティブな材料ではない」という。
「指数に採用する際は10分の1の株価になるといっても、インデックスファンドなど、日経平均に連動するように運用する側にしてみれば、高い株価のままで組み入れるほかありません。今回除外される銘柄を売って新規採用銘柄を買おうとしても、その差は到底埋めきれず、他の銘柄を売ってでも新規採用銘柄を買わないといけない。そのための売り需要は約4700億円にものぼると見られており、それだけの売り圧力が見込まれる以上、市場にとって好材料とはいえません」
任天堂、キーエンス、村田製作所の「日経ヘイキンズ」入りを手放しで喜んでいる場合ではないようだ。