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実は深刻な「じゃがいも食べすぎ問題」 懸念される健康リスクの数々

揚げものなどで、じゃがいもを高温で長時間加熱すると「アクリルアミド」が生じる(イメージ。Getty Images)

揚げものなどで、じゃがいもを高温で長時間加熱すると「アクリルアミド」が生じる(イメージ。Getty Images)

揚げたじゃがいもに含まれる物質

 2002年、スウェーデン政府が「じゃがいものスナック菓子から発がん性物質であるアクリルアミドが高濃度で検出された」と発表し、世界中に衝撃を与えた。アクリルアミドは合成樹脂や合成繊維、接着剤、塗料など工業用に使われる化学物質として長年扱われてきたが、なんと炭水化物を多く含む食品を120℃以上の高温で調理すると、食品内に発生してしまうことが判明したのだ。

 その毒性は強力だ。動物実験において、遺伝子を傷つけ、がんを発生させることが確認されている。国際がん研究機関はアクリルアミドを「2A」と分類。その内容は「人に対しておそらく発がん性がある」というもので、ディーゼルエンジンの排気ガスと同等リスクだ。AGE牧田クリニック院長・牧田善二さんがショッキングな指摘をする。

「血糖値が高い状態で生成される有害物質を『AGE』といいます。『AGE』は体内に炎症を起こし、組織をぼろぼろにします。その影響は全身の血管や骨、筋肉、コラーゲンに及びます。病気の原因となるだけでなく、シミやしわの原因にもなり、見た目も老けさせます。

 スウェーデン政府が発表した食品中のアクリルアミドは、AGEの上をいく『超悪玉AGE』ともいえる存在。がん、骨粗しょう症、肌老化などあらゆるリスクのもとになる。このアクリルアミドの含有量が群を抜いて多いといわれるのが、ポテトチップスやフライドポテトなのです」

 こういった食品を摂る頻度の高い地域では、その弊害が現れている。

「北米では、ポテトチップスやフライドポテトなどの付け合わせスナックが人気です。カナダの研究では、体内に取り込まれるアクリルアミドの70%近くがポテトチップスとフライドポテト由来であると見積もる報告も出ています」(大西さん・以下同)

 ポテトチップスやフライドポテトがこれほど有害物質を生み出してしまうのは、じゃがいもの成分と調理法にある。

「じゃがいもは、アミノ酸の一種であるアスパラギンと、ブドウ糖や果糖などの還元糖を含みます。120℃以上の高温で長時間加熱されることで、これらが『メイラード反応』と呼ばれる化学反応を起こし、アクリルアミドを生じてしまうのです。メイラード反応が起きるのは、揚げる、焼く、炙るなど高温加熱調理のとき。独特の風味と香りが生まれますが、それと引き換えに世界中の人々がアクリルアミドに健康をむしばまれているのです」

 調理法だけではない。知らぬ間にアクリルアミドを増やしている原因がもう1つある。

「じゃがいもを冷蔵庫で保存すると、でんぷんが還元糖に変化します。還元糖を高温で加熱することはアクリルアミドを生成する原因の1つですから、冷やすと発がん性物質が増えてしまいます。いかなる調理法を選ぶとしても、冷蔵庫でのじゃがいもの貯蔵、保存は避けるべきでしょう」

 これほど危険な食品とわかっていながら、ポテトチップスやフライドポテトの人気が陰る気配はない。そこには、「食べるのをやめられない」という別の危険があった。糖尿病専門医の鶴田加奈子さんが話す。

「ポテトチップスやフライドポテトは、脂肪と糖質が同時に摂取されるため血糖値が急激に上がります。急激な血糖値の上昇は脳に満足感を与え、心地いい快感となるため、つい食べたくなってしまいます。また、『甘いものよりマシだろう』と考える人がいますが、塩味のしょっぱさは特に中毒性があり、食物依存になりやすいのです」

 食べれば食べるほど健康リスクが高まり、食物依存が悪化することを覚悟しよう。

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