じゃがいもは「野菜ではない」
居酒屋では欠かせない人気メニューの1つに「ポテトサラダ」が挙げられる。メニュー表でも野菜サラダと並んで載っていることが多いが、野菜を摂取したつもりになってはいけない。
「ハーバード大学公衆衛生大学院の『健康的な食事プレート』というリストでは、じゃがいもを野菜としてみなしていません。同大の別の研究チームも、じゃがいもの摂取により女性の糖尿病リスクが高くなると指摘している。逆に、じゃがいもを減らし、全粒穀物に置き換えた人は体重が減って糖尿病リスクが減少したとの報告もあります」(大西さん)
私たちはどのくらいじゃがいもを食べているのか。国連食糧農業機関の統計によると、米国では1人あたり年間57kgのじゃがいもを摂取している一方、日本は約21.3kgと、半分以下。少ないと思ってしまいがちだが、それは早計だ。糖尿病専門医の市原由美江さんが言う。
「米を主食とする日本人は、じゃがいもを食べると糖質オーバーになりやすい。肉じゃが、ポテトサラダ、じゃがいものみそ汁などをご飯のおかずと考えるのは避けた方がいいでしょう。特に日本風のじゃがいも入りカレーは、ルウに小麦粉も含まれているため、明らかに糖質過多となってしまいます」
鶴田さんも同意見だ。
「じゃがいもを使った料理を食べるのなら、その分、ご飯の量を減らすなど糖質量の調整が必要です」(鶴田さん)
ドイツでは、ステーキを頼むと大量のマッシュポテトがついてくるが、米やパンなどは出ない。あくまで、じゃがいもは「主食」ということを忘れないようにしたい。
日本のスーパーに並ぶ輸入じゃがいものリスク
じゃがいもの芽に「ソラニン」という毒が含まれているのは有名な話だ。世界の歴史でも、イギリスの女王エリザベス1世がソラニン中毒を起こしたり、およそ100年前に5才の少年が中毒死したという事故も伝えられている。
近年でも、国内で食中毒がたびたび問題となっている。2019年、兵庫県の小学生13人が校内で採れたじゃがいもを食べて中毒症状を起こし、救急搬送されている。
「大量摂取すれば、場合によって死に至ることもあり得る。妊婦が発芽したじゃがいもを食べると、胎児の先天性欠損症のリスクが高まる危険も指摘されています」(大西さん)