コロナ感染者数の拡大に酷暑、開会式スタッフの辞任や解任騒動などさまざまな問題が起こりながらもなんとか閉幕した東京五輪。日本人選手のメダルラッシュなど、感動するシーンも多く合ったが、やっぱり一方でスッキリしないものが残っている人も多いのではないか。『女性セブン』の名物“アラ還ライター”、オバ記者こと野原広子さんが、東京五輪に抱えるモヤモヤした思いを綴った。
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9月に入ってすっかり秋めいてきたけど、東京五輪に関していまだスッキリしないことがあるの。
実は私、今年の春先に、衆議院議員会館の議員事務所でアルバイトをしつつ、あるアルバイトサイトの『国際競技大会の競技補助員募集』というのに応募していたのよ。時給1500円で年齢制限なし。応募するにあたって派遣会社に出向いて、「これから開催される国際競技大会といったら東京五輪しかないですよね?」と確認したら、「まあ、そうでしょうけど、いまはまだそれ以上のことは言えないんです」と、何とももったいつけた言い回しなの。
ますます興味が湧いて、「年齢制限がない代わり、走れないとダメとかそういう制限があるんですか?」と聞いたら、「それはないです。指示された通りに、会場で競技機材を運んだりするだけですから。とにかくご登録いただいて、正式にお願いすることになったらお知らせします」と30才くらいのビジネスマン氏はニッコリ。で、最後に「細かいことが決まっていないので、採用が決まるまでは他言しないでください」とつけ足された。もっとも、やる気満々の私は、議員事務所に早速、「国会が閉会中は国際大会でアルバイトをしていますのでよろしくお願いします」と話しちゃった。
ところが、それっきり派遣会社からはウンともスンとも。そのうちこちらも田舎でひとり暮らしの母親を自宅介護することになり、アルバイトどころじゃなくなった。そして東京五輪の働き手を志願していたこともすっかり忘れ、茨城の実家で母ちゃんと五輪観戦に明け暮れた。
その五輪、無心に楽しめればよかったのに、フタを開けてみれば、「コロナ禍だから仕方がない」ではすまないくらい、ケチがついたよね。開会式から閉会式まで、私の知っている伝統ある“日本”を消そう消そうとしているとしか思えない演出で、腹が立って仕方がなかった。
そして、どんなに嘆いても東京五輪は終わり、五輪の顔になった菅総理は次の総裁選に出馬しないことが決定して、いよいよ「選挙の季節の始まり始まり~」って、なんかヤ~な感じ。ソロバンなら「ご破算で願いましてはー」と言って指を左から右に引いて、前回の計算はすべてなかったことにするけど、国レベルでそれをやっちゃオシマイよ。てか、今回だけは私たちもそれを許しちゃダメでしょ。ちゃんと事後検証しなきゃ。