住まい・不動産

隣家のリフォームで、我が家が丸見え状態に 目隠し設置費用を請求できるか

これではプライバシーが…(イラスト/大野文彰)

これではプライバシーが…(イラスト/大野文彰)

 心休まるマイホームだと思っていたのに、隣家がリフォームしたことによって環境が変化してしまった……。例えば我が家のリビングが隣から丸見えになってしまったとしたら、そこに対策する費用は請求できるのか──。竹下正己弁護士が解説する。

【相談】
 隣家がリフォームをしました。完成してみると、隣家の窓からうちのリビングが丸見えに。隣家は腰高窓ですが、うちは掃き出し窓なので覗かれているようで落ち着きません。隣家からはリフォーム前に窓をつける相談は一切ありませんでした。隣家とうちの間に目隠しできる塀などを設置する場合、隣家に費用を請求することはできますか。(三重県・55才・女性)

【回答】
 境界線近くに建築された建物に窓が設置され、そこから隣地が丸見えになってしまうと、隣人は絶えず見張られているような感じになりかねません。

 プライバシーが守れない不安を抱かなくてすむよう、民法は、「隣地との境界線から1メートル未満の距離で他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならない」と規定しています。隣家のリフォーム後の窓からあなたの自宅の中まで見通せるのですから、その窓の位置があなたの土地の境界線から1メートル未満だと、この規定により、隣家に目隠しの設置を要求できます。

 1メートル未満かどうかは、窓のうち、隣地にいちばん近い点から境界線に至る垂直線の長さで判断されます。窓から境界線までの距離が1メートル以上だと、この規定に基づいて目隠しの設置を求めることはできませんが、そうはいっても隣家の窓から、くつろいで過ごす大切な居住空間であるリビングが丸見えになるのでは、落ち着いて生活できないでしょう。特に周囲が住宅地域の場合、良好な住環境を保持する上で、覗き見される危険性やこれによる心理的圧迫感がないことは住まいの大切な条件です。

 もし実際に、隣家の人が窓からあなたの家のリビングを見ていることがしばしばあるとすれば、私生活の平穏を脅かすプライバシーの侵害になります。

 軽犯罪法は、正当な理由がなく、人の住居をひそかに覗き見た者を処罰します。偶然見るのではなく、あなたにわからないようにこっそり見ていれば、覗き見に該当する可能性もあります。

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